川上拓磨さん、川上孝子さん(音更町・Project ATK)
夫婦で家づくり
ProjectATKは、川上さんご夫妻で1つの家を建てるユニークな会社。川上拓磨さん、川上孝子さんとも現場で大工として家づくりのはじめから仕上げまで一緒に働き、設計図面も描きます。独立したのは2008年ですから取材時点で設立から3年の若い会社です。
拓磨さんは青森県出身。実家も工務店です。北海道の高断熱・高気密の家づくりを勉強したいと札幌の専門学校で設計と高断熱・高気密について学び、帯広の専門学院で大工としての基礎を学びました。そこで孝子さんに出会います。孝子さんは最初は設計をやりたかったそうですが、実習で大工現場に出るうちに現場仕事のおもしろさにも目覚め、「家づくりの全プロセスに関わって責任ある仕事をしたい」と思うようになりました。
学校卒業後は、2人揃って(有)水野建設さんに入社して現場大工として働きました。水野社長の元で学びながら、念願だった独立を果たしたのです。
全てに徹底的にこだわる
デザイン、性能、使い勝手。家に求められる要素は数多くありますが、川上さんのモットーは全てに手を抜かないこと。新住協がこれまで培ってきた新在来の技術も基本に忠実に施工し、先日引き渡した住宅の気密性能値=C値は0.095cm2/m2と0.1cm2/m2を切ったそう。
これは一般的な大きさ(床面積120m2)の戸建住宅で考えると、家中のすき間を合わせても3cm×4cmと、免許証の写真程度の大きさにしかなりません。かつて国が次世代省エネルギー基準で求めていた2.0cm2/m2、道が北方型ECO基準で求めている1.0cm2/m2に比べると一ケタ少ない高性能です。
また、新しい技術や製品だからといってすぐさま飛びつくことはせず、ほんとうに必要な技術や製品かどうか、十分検討してから採用しています。
もちろん、デザインや使い勝手も大事。いつも新しい情報を仕入れ、センスの良い雑貨店に出入りしてインテリアを研究したり、お客さまからのヒアリングもじっくり時間をかけます。時間をかける家づくりのため、「住宅会社にお任せしたいタイプのお客さまは物足りないと思われるかもしれません」と言います。
2人とも常に建築現場にいるので、営業する時間もないし、「とりあえずプラン、見積を作って」というお客さまへの対応も、忙しくて難しいのが現状です。「当社を信頼して建てること前提で相談に来られるお客さまが優先」というのもうなずけます。年間に建てられる住宅は、打ち合わせなどの時間的余裕を考えると2軒が限度。
一方で家づくりを依頼されたお客さまとの繋がりは深く、一緒に旅行するほど。
「いずれは家に合う家具の製作からすべて自分たちでやりたい」と夢はふくらみます。
腕の良い職人に頭を下げてお願いに行く
仕事の質を何よりも重視する川上さんは、住宅の基礎作りも参加します。どうしても自分たちでできない屋根・外壁や住宅設備の設置や配線・配管工事などは心から信頼できる会社・職人さんにお願いしています。
たとえば外壁・屋根は耐久性が良くお手入れの頻度の少ないガルバリウム鋼板を標準採用していますが、腕の良い職人を求めて上士幌町まで出向き、「どうしてもあなたの力を貸して欲しい」と頭を下げに行ったとか。素人目には同じように思える仕事も、プロの目で見ると全然違うのだそうです。ここまで厳しい目で見るのも、「しっかりと長持ちする家」を目指しているからです。
こうした家づくりの結果が、「暖房費が節約できる家」となって数字に出ています。入居したお客さまによると、年間の暖房費は数万円しかかかっていません。
創業したばかりの新しい会社ですが、やりたいことがいっぱいあって時間が足りないくらいの様子。これからどんな進化を遂げるのか、楽しみですね。
Project ATK 川上拓磨さん、川上孝子さん
あなたもジンドゥーで無料ホームページを。 無料新規登録は https://jp.jimdo.com から