【はじめに】
家じゅう暖かく快適で、しかも暖房費が一般的な省エネ基準住宅に比べて約半額になる家計にやさしいエコ住宅。それがQ1.0(キューワン)住宅です。このエコ住宅を建てるには、高い精度の施工力と設計ノウハウが必要ですが、新住協十勝支部の会員はこれまで多くのQ1.0住宅を建てた実績があります。このページでは、Q1.0住宅についてわかりやすくご説明し、その後で新住協十勝支部が取り組んできたQ1.0住宅の事例をご紹介します。今後の家づくりのご参考になれば幸いです。
Q1.0住宅は、(一社)新木造住宅技術研究協議会(略称:新住協)の鎌田紀彦代表理事が2004年に提唱しました。暖房用エネルギーをこれまでの省エネ基準住宅のおよそ半分に減らせる性能を持っています。車で言えば、リッター10kmしか走らないガソリン車から、リッター20kmも走る燃費の良いエコカー(ハイブリッド自動車)に買い換えるような感覚。Q1.0住宅が燃費が良くて快適なのはエコカーと全く同じです。
十勝で省エネ基準の住宅を建てた場合、暖房用灯油として年間1200L消費すると言われています。これをQ1.0住宅にして半分の600Lに減らせたら、年間で5万円以上節約できます。さらに今後、灯油価格が高騰して130円/Lになれば8万円近い節約になります。1年なら我慢できる差かもしれませんが、20年、30年と続けばその差は数百万円にもなります。Q1.0住宅なら、暖房用のエネルギー価格が上がっても暖房費の上昇幅を最小限に抑え、安心して暮らせます。
Q1.0住宅は、単純に断熱性能を上げるだけではなく、地域ごとに異なる気候も考慮して設計に生かしています。特に十勝は冬の晴天率が高く、窓から太陽熱を積極的に取り入れる設計を行っています。たとえば、通常は断熱性能の高いトリプルガラス入りサッシを使うことが多いのですが、十勝では太陽熱を積極的に取り入れるためにあえて南面に大開口のペアガラス入りサッシを使うこともあります。夜の寒さに対しては、断熱ブラインドを下ろすことで窓から逃げる熱を防ぎます。一方で冬に雪の多い旭川では、日照時間が短くて太陽熱を積極的に取り入れることが期待できないので、トリプルガラス入りサッシを採用することが多くなっています。
こうしたQ1.0住宅を設計するために「QPex」と呼ばれる専用の熱計算プログラムが会員工務店に提供されています。断熱性能の計算だけでなく、日射取得熱の影響や建物の熱容量と呼ばれる蓄熱性能の違いまで考慮に入れてきめ細かく暖房エネルギーのシミュレーション計算を行います。新住協では講習会を行って各会員が使い方をマスターしているため、高度な設計ができます。
2004年に発表されたQ1.0住宅は大きな反響を呼び、全国の住宅づくりに多大な影響を与えました。普及が進み始めると、さらなる省エネを目指して「Q1.0-X」に進化しました。Q1.0-Xでは、"ほぼ無暖房住宅"を視野に入れた超高断熱住宅を想定しています。省エネ基準住宅の暖房エネルギーに比べて45%削減した住宅を「Q1.0住宅 Level1」としQ1.0住宅のベーシックな性能と位置づけました。さらに暖房エネルギーの削減率が高くなるほどLevel2、Level3と性能が上がり、75%削減した住宅を最高グレードの「Q1.0住宅 Level4」としました。太陽光発電を併用することでLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅の実現も視野に入れています。
Q1.0-Xのような超高断熱住宅では、冬に大地震や大雪などの災害で電気などのライフラインが寸断された場合でも、優れた建物の断熱性で室温の急激な室温低下を免れることができるのも大きなメリットです。暖房費の安さだけでなく、災害時に安心して住める家がQ1.0-Xです。
会員各社はこうした大きな目標に向かってQ1.0住宅の普及を目指し、省エネで光熱費の安い快適な家づくりの取り組みを進めています。
2020年9月には、Q1.0住宅づくりの新しいマニュアルとして「Q1.0住宅 設計・施工マニュアル 2020」が発売されました。会員だけでなく、非会員の住宅会社やお施主様もお買い求めになることができます。ノウハウを会員以外にも開示するのは、より良い家づくりを多くの方に広めたいからです。
わたしたちの目標は、Q1.0住宅をすべてのお客さまにお届けすることです。鎌田紀彦代表理事の指導の下、高性能を追求しながら施工の合理化を図ってコストダウンする取り組みも進めています。ここに掲載した事例は一例ですが、わたしたちが家づくりに真剣に取り組んでいる成果をとして覧いただければと思います。
十勝支部会員のQ1.0住宅事例(1) (有)猪子建設
建築年 2019年 建設地 帯広市
UA値(Q値)
Q値 |
0.79W |
UA値 |
0.21W |
省エネ基準住宅モデルの暖房エネルギーを100%として 49.1%(Q1.0住宅 Level1)計算した灯油消費量 637L
各部位の構成「断熱・窓・ドア・換気」
断熱材 |
基礎 |
外側 |
50mm厚 |
ビース法ポリスチレンフォーム1号 |
|
床 |
床下 |
200mm厚 |
高性能グラスウール16K |
|
|
土間下 |
30mm厚 |
ビース法ポリスチレンフォーム1号 |
|
外壁 |
枠間 |
140mm厚 |
高性能グラスウール16K |
|
|
付加 |
140mm厚 |
高性能グラスウール16K |
|
天井 |
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400mm厚 |
吹込みグラスウール |
窓 |
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樹脂サッシトリプルガラス入り APW430(YKK AP) |
玄関ドア |
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高断熱玄関ドア イノベストD50(YKK AP) |
換気 |
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第1種熱交換換気システム ライフブレス(パワーズトレーディング) |
暖房 |
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高効率灯油ボイラーによるセントラル温水暖房システム |
給湯 |
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高効率灯油給湯器 |
○設計のポイント
ナチュラルな雰囲気と造作キッチンが魅力
北側に玄関を設けた場合、玄関ホールは「日中暗くなるのでは」という不安が出てくるため、玄関上部に吹き抜けとハイサイドライトを設けて太陽光を採り入れ、足元の明るさを確保し、日中でも靴の脱ぎ履きがスムーズにできるよう設計しました。
2階の階段を上がりきった場所にはエアコンを設置しました。 夏は、このエアコン1台で2階と1階を効率良く冷やす事ができ、快適に過ごしていただけるようにしました。
床をオーク無垢材にするなど、木の魅力をたっぷり見せる内装にしています。木目の美しいスギ無垢材とステンレス天板を使い、大工が製作したII型の造作キッチンを設置しました。既製品にない味わいがあります。II型なので調理スペースとシンクが分かれており、ご家族いっしょに料理できるゆとりがあります。ほかにも、電話台、収納棚、ダイニングテーブルなど造作に力を入れ、手作りの温かさや味わいを出しています。
このほか、共働きの奥さまが家事を楽に早くスムーズに進められるよう、7.5帖もあるゆったりとしたユーティリティスペースを設けました。さらに、洗濯機の近くに物干しスペースと服をしまえる収納など、お施主様の「あったらいいな」を形にしました。
建築年 2020年 建設地 音更町
UA値(Q値)
Q値 |
1.01W |
UA値 |
0.34W |
省エネ基準住宅モデルの暖房エネルギーを100%として 53.9%(Q1.0住宅 Level1)
計算した灯油消費量 857L
各部位の構成「断熱・窓・ドア・換気」
断熱材 |
床 |
床下 |
155mm厚 |
高性能グラスウール16K |
|
外壁 |
充てん |
105mm厚 |
高性能グラスウール16K |
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|
付加 |
50mm厚 |
押出ポリスチレンフォーム3種bA |
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天井 |
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400mm厚 |
吹込みグラスウール |
窓 |
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樹脂サッシペアガラス入り APW330(YKK AP) |
玄関ドア |
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高断熱玄関ドア |
換気 |
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第1種熱交換換気システム (パナソニック) |
暖房 |
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高効率ガスボイラーによるセントラル温水暖房システム |
給湯 |
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高効率ガス給湯器"エコジョーズ" |
○設計のポイント
準防火地域でコスパの良いキューワン住宅を
施主は30代の若い夫婦です。将来にわたって維持費を抑え、安心して暮らせるよう当社からQ1.0住宅を提案させていただきました。建設地が準防火地域のため、防火対応のトリプルガラス入り樹脂サッシを採用するとたいへんなコストアップになります。そこで防火対応のペアガラス入り樹脂サッシを採用。熱交換換気の採用や、断熱仕様をグレードアップしてQ1.0住宅 Level1をクリアしました。
暖房・給湯はプロパンガスのエコジョーズを採用しているので、ガスタンクを設置しなければなりません。このタンクは通常は道路側に設置されることが多いのですが、そうすると道行く人の視線が気になります。そこで配置を工夫して見えにくくしました。
施主様からはかわいらしい内装にしたいというご希望があり、コーディネートを提案いたしました。また、コストパフォーマンスにも配慮し、お施主様のご予算内におさまるよう工夫しました。
建築年 2020年
UA値(Q値)
Q値 |
0.99W |
UA値 |
0.28W |
省エネ基準住宅モデルの暖房エネルギーを100%として 46.8%(Q1.0住宅 Level1)
計算した灯油消費量 464L
各部位の構成「断熱・窓・ドア・換気」
断熱材 |
基礎 |
内外共 |
150mm厚 |
ビース法ポリスチレンフォーム1号 |
|
床 |
土間下 |
50mm厚 |
ビース法ポリスチレンフォーム1号 |
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外壁 |
充てん |
100mm厚 |
硬質ウレタンフォーム |
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天井 |
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400mm厚 |
吹込用セルローズファイバー400mm厚 |
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100mm厚 |
フェノールフォーム断熱材 |
窓 |
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樹脂サッシトリプルガラス入り エルスターX(LIXIL)、アルミ樹脂複合サッシトリプルガラス入り(LIXIL) |
玄関ドア |
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高断熱玄関ドア(LIXIL) |
換気 |
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第1種熱交換換気システム (パナソニック) |
暖房 |
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高効率ガスボイラーによるセントラル温水暖房システム |
給湯 |
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高効率ガス給湯器"エコジョーズ" |
○設計のポイント
あこがれの平屋住宅を光熱費を抑えてスタイリッシュに
Q1.0住宅Level1の高断熱性能と、太陽光発電による売電で光熱費を実質ゼロ以下にするゼロ・エネルギー・ハウスです。屋根には9.1kWの太陽光発電パネルを搭載して発電した電気をたっぷり売電できます。また、国が推進するZEH(ネットゼロエネルギーハウス)の認定も受けています。
こうした高性能に加え、デザインにも重点を置いた、モダンでおしゃれな住宅に仕上がりました。大きな窓と緩勾配の屋根で天井を高くしたリビング、小上がりの和室など、くつろいで暮らせる工夫も見どころいっぱいです。あこがれの平屋暮らしがスタイリッシュに始まります。
建築年 2020年
UA値(Q値)
Q値 |
- |
UA値 |
0.21W |
省エネ基準住宅モデルの暖房エネルギーを100%として 46.0%(Q1.0住宅 Level1)
※灯油消費量ではなく、一次エネルギー消費量で計算しています
計算した灯油消費量 ――L
※BELS認証取得のため、Q1.0住宅のプレゼンシートではなくBELS認証の書類を掲載しています
各部位の構成「断熱・窓・ドア・換気」
断熱材 |
基礎 |
内外共 |
200mm厚 |
ビース法ポリスチレンフォーム1号 |
|
床 |
土間下 |
30mm厚 |
ビース法ポリスチレンフォーム1号 |
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外壁 |
充てん |
100mm厚 |
高性能グラスウール16K |
|
|
付加 |
100mm厚 |
高性能グラスウール16K |
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天井 |
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250mm厚 |
高性能グラスウール16K |
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100mm厚 |
フェノールフォーム断熱材 |
窓 |
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樹脂サッシトリプルガラス入り APW430(YKK AP) |
玄関ドア |
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高断熱木製玄関ドア(ガデリウス) |
換気 |
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第1種熱交換換気システム (ローヤル電機) |
暖房 |
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寒冷地向けエアコン1台による床下暖房+薪ストーブ |
給湯 |
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ヒートポンプ電気給湯器"エコキュート" |
○設計のポイント
小さく建てて大きく暮らすミニマムスタイルのQ1.0住宅
「小さく建てて大きく暮らす」をテーマに、ミニマムスタイルの家を目指しました。できあがったのは約26坪の平屋です。
お施主様のY様も「実家は大きくて部屋を暖めるのがたいへんで掃除もしにくかった。そこで、小さくてもしっかりとしていて、長持ちする家。子どもに残せる家」というご希望で、長期優良住宅の認定を受け、耐震等級は認定条件よりもさらに厳しい等級3をクリア。
省エネ基準よりも2倍以上高性能なUA値0.21Wという超高断熱のため、暖房器具の選択肢が広がりました。寒冷地向けエアコンの温風を基礎断熱された床下空間に吹き出し、床ガラリからほんのりと暖気が立ち上るマイルドな全室暖房。これまでエアコン1台では全室暖房は無理と思われていましたが、超高断熱住宅で暖房機の負担が減ったために実現しました。さらに、玄関土間には薪ストーブを補助暖房として設置。防火壁も兼ねた札幌軟石の壁と床タイルは、薪ストーブの熱を吸収して蓄熱する「熱容量を増す」働きもあります。このため、薪ストーブの火が消えてもしばらくは熱が放出されるため、暖まりすぎや急激な温度低下を防ぐ働きがあります。
さらにこの住宅は、BELS(ベルス)という国の建築物省エネルギー性能表示制度で最高等級の5つ星認定を取得しています。暖房だけでなく、冷房、給湯、換気、照明なども含めた一次エネルギー消費量を、省エネ基準住宅に比べて44%も削減しています。
このほか、地産地消の家づくりに力を入れており、道産カラマツ外壁は大開口サッシとの組み合わせでナチュラルな中にも、モダンでスタイリッシュなデザイン。「北海道の家は暖かいけど窓が小さい」というイメージを覆すデザイン住宅です。
建築年 2020年
UA値(Q値)
Q値 |
0.84W |
UA値 |
0.22W |
省エネ基準住宅モデルの暖房エネルギーを100%として 32.3%(Q1.0住宅 Level3)
計算した灯油消費量 442L
断熱材 |
床 |
200mm厚 |
高性能グラスウール16K |
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外壁 |
充てん |
140mm厚 |
高性能グラスウール20K |
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付加 |
45mm厚 |
フェノールフォーム断熱板(λ=0.018W) |
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天井 |
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500mm厚 |
吹込用グラスウール |
窓 |
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樹脂サッシトリプルガラス入り APW430(YKK AP) |
玄関ドア |
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高断熱木製玄関ドア |
換気 |
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第1種ダクトレス熱交換換気(日本スティーベル) |
暖房 |
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高効率ガスボイラーによるセントラル温水暖房システム+寒冷地向けエアコン |
給湯 |
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高効率ガス給湯器"エコジョーズ" |
○設計のポイント
2030年の標準的な新築住宅を先取りしたQ1.0住宅
今回ご紹介するK邸は岡本建設オリジナル評価でLV4
さらに太陽光発電パネル20枚(6.7kW)搭載し、ZEH実現
<オリジナル評価一覧>
LV1 UA値0.3W
LV2 LV1+開口部強化
LV3 LV2+付加断熱
LV4 LV3+熱交換換気
2007年より熱交換換気を採用し、試行錯誤の末スティーベル社LT50ECOに落ち着く
2015年にオリジナル評価 LV4仕様を確立
LV4仕様=UA値0.25W、全棟全てQPex計算
2021年は現時点ですべてLV4仕様
ZEH普及に伴い
2015年自社で太陽光発電パネルの施工技術を確立
2020年ZEHビルダー5つ星(最高ランク)評価を取得
LV4を普及した手法と同様、太陽光エネルギーの経済効果プレゼン全て行い普及に努める
2021年は現時点で太陽光発電パネルの搭載比率50%
岡本建設では現在、LV4+太陽光発電搭載→フルスペック住宅と位置づけ、
国が2030年に標準的な新築住宅に求める高性能ZEHを、現段階で既に設計・提案しています。
HEAT20 G2レベルの断熱性能と耐震等級3が標準です。
建築年 2021年
UA値(Q値)
Q値 |
0.89W |
UA値 |
0.28W |
省エネ基準住宅モデルの暖房エネルギーを100%として 33.9%(Q1.0住宅 Level3)
計算した灯油消費量 594L
断熱材 |
基礎 |
内外共 |
115mm厚 |
押出ポリスチレンフォーム3種bA |
|
外壁 |
充てん |
105mm厚 |
高性能グラスウール16K |
|
|
付加 |
40mm厚 |
ビーズ法ポリスチレン1号 |
|
天井 |
|
400mm厚 |
吹込用グラスウール |
窓 |
|
|
|
樹脂サッシトリプルガラス入り APW430(YKK AP) |
玄関ドア |
|
|
|
高断熱玄関ドア(YKK AP) |
換気 |
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第1種熱交換換気システム(Panasonic) |
暖房 |
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高効率灯油ボイラーによる床下暖房システム |
給湯 |
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高効率灯油ボイラー |
○設計のポイント
おうち時間を楽しめるセカンドリビングを設けたQ1.0住宅
日当たりが乏しい敷地のため、南面に大きな吹き抜けを設けて、2階から日射を取り込むプランにしました。
コロナ渦の中、おうち時間をご家族それぞれが楽しめる様に、2階にセカンドリビングを設けたり、個室を多めに作りました。
共働きの子育て世代の生活スタイルに合わせて、「極力手間をかけない家事」ということを意識して設計しました。ランドリースペースにファミリークローゼットを併設し、「干してたたんでしまう」という動作を同じ場所で済ませることができます。
内装床にはナラのフローリング、外装にはホタテ漆喰を採用し、できるだけ本物を取り入れ、月日が経つにつれ味わい深い建物となる様にデザインしました。
性能的には、ZEHを実現するための高断熱仕様を標準としています。今回の事例もUA値0.28W、Q1.0住宅 Level3の性能を標準仕様で実現しています。プランやインテリアに工夫を凝らしながら、暖かくて光熱費がかかにくい高性能住宅で、お施主様にきっとご満足していただけると思っています。
新住協・鎌田紀彦代表理事がまとめた、Q1.0住宅を開発した経緯についてご紹介します。
新住協は1989年の発足当初から「高断熱住宅を造る技術」の啓蒙と普及に取り組んできました。そして、会員の多くに断熱技術がほぼ構築されたとみて、次の目標を掲げました。それがQ1.0住宅です。断熱性能をさらに高め、窓や換気の熱ロスを抑え、太陽エネルギーをより効率的に活用し、暖房エネルギーを減少させることでCO2削減と暖房費の削減に貢献しようというものです。勿論、夏対策や快適な暮らしを実現する住宅デザインなどもおりこむことは言うまでもありません。
寒い部屋で布団にくるまって寝るとやがて暖かくなります。部屋が寒いときは布団を厚くする必要があります。
布団が薄いと逃げる熱のほうが多く、寒いので電気毛布などの暖房器を布団の中に入れて熱を補う必要があります。逆に、部屋がそんなに寒くないと、ぶ厚い布団では暑くなってしまいます。住宅の暖房もこれと同じです。布団は住宅の断熱材であり、布団の中の空間は住宅の室内空間です。住宅の中で人間は熱を放出していますが、布団の中に比べて住宅空間は広いので、 断熱材をかなり厚くしても、それだけでは足りず暖房する必要があります。
電気毛布の代わりに、ストーブや温水ボイラーを使います。布団の中と大きく違う点は、住宅には窓があり、太陽熱が入ってくることです。また、住宅内で生活する我々は電気器具やガス器具を使っていますが、それも熱が放出されます。外気温に比べて室内のほうが温度が高いと、住宅から熱が逃げます。温度差1℃のとき、床、壁、天井、窓から逃げる熱および隙間風や換気で逃げる熱の合計に、温度差を掛けた量が住宅から逃げる熱損失です。
外気温は変わりますから、毎日の平均外気温と平均室内気温との差を冬期間の間全部足して熱損失量にかけると、冬期間全体の熱損失になります。
一方で、住宅に供給される熱は、人間が出す熱や生活で使った電気・ガスで発生する熱と、窓から入ってくる太陽熱を加えたものです。これを冬期間全部で計算すればよいわけです。熱損失量と供給熱を比べると、寒冷地では損失のほうがずっと大きく、その差が必要な暖房エネルギーなのです。
この結果、暖房エネルギーを削減するにはいくつかの方法があることがわかります。第1は、熱損失を減らすことです。温度差は地域によって決まります。
高断熱住宅の暖房エネルギーをさらに減らす手法としては、
第1の手法 換気の熱損失を減らす
第2の手法 開口部の強化と太陽熱利用
第3の手法 断熱の強化
の3つがあります。
暖房エネルギーは住宅の建設地の暖房度日数(寒さの量)、日射量、住宅の断熱性能、窓の大きさ、サッシガラスの種類によって変動します。新住協では、それらをより簡単に計算できるプログラム=QPexを制作して、多くの会員が活用しています。
最後に、Q1.0住宅のすごさについて簡単にまとめました。
1.シミュレーションで暖房費を抑える設計ができる
QPexという計算ツールを活用し、暖房費を従来の半額に抑える設計ができます。さらに、新住協会員はこの計算ツールを使いこなすための教育を受けています。
2.構法的に安全でミスが少なく、低コストになる施工技術
新住協では、鎌田代表理事が理論と施工技術両方を指導しており、会員みんなが同じレベルアップができるよう定期的に研修しています。
3.手の届く価格帯
Q1.0住宅運動の最終的な目標は、誰もが暖かくて光熱費の安い家を建てられることです。そのために費用対効果を常に検証し、コストパフォーマンスの高い家づくりを目指しています。得られた成果は、会員だけでなく、会に加入してない住宅会社や一般市民にも公開しています。商業的なフランチャイズチェーンやボランタリーチェーンとは違い、一般社団法人として活動しています。
Q1.0住宅のご相談、お問い合わせは、新住協十勝支部の各会員までお気軽にどうぞ!
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