新住協北海道地区大会in十勝が無事終了しました

3月17日(金)・18日(土)の2日間にわたる新住協北海道地区大会in十勝が無事終了しました。

【大会1日目】

17日は午後から十勝支部会員の現場見学会。建築途中や、完成した現場など全部で5ヵ所を回りました。ゼロエネルギーを指向した住宅や、コンパクトで高性能な平屋住宅など、バラエティに富んだ構成で、参加された会員の皆さんは熱心に見学されていました。

 

夜は交流懇親会を開きましたが、中には3次会まで進んだメンバーもいて、たいへんな盛り上がりようでした。

【大会2日目】

18日は朝から夕方近くまでホテルで大会を開催しました。

会場は朝から100名以上が入って満席です。

最初に(株)芦野組の芦野社長がにこやかに開催あいさつ。

少々眠そうな顔をした参加者もいましたが、さっそくスタートです。

まずは『快適最小住宅 Project Team』から、SUDOホームの須藤芳巳氏が発表しました。

 

一般マスコミでも報じられている通り、人手不足や資材価格の上昇により、建築費は高騰傾向にあります。さらに政府はCO2排出削減のために、ZEH(ネットゼロエネルギー住宅)のような、より省エネルギー性の高い住宅建設を求めており、さらに建築費を押し上げる一因となっています。

 

一方で、家を建てる消費者の収入は伸び悩んでいます。また、札幌などの都市部では道路に接する幅が9m以下の“狭小間口”の土地が多く、家のプランにいろいろと制約が出てきます。

 

これらのいろいろな問題を解決するために、省エネ性に優れた新住協のQ1.0(キューワン)住宅をコンパクトにした「快適最小住宅」を開発しようと札幌支部内でプロジェクトがスタートしました。

 

平成29年度には、「Q1.0住宅プロトタイプ」と名付けて、会員と鎌田紀彦代表理事が知恵を絞って開発することになっています。

 

札幌支部では、事前にたたき台となる住宅プランやモデルハウスなどを募集しました。

 

募集テーマを「あなたが思う快適最小住宅」と名付け、

○デザイン的に美しい

○内部空間を豊かに(使いやすいプランなど)

○可変性に富む(家族構成の変化等に対応しやすい)

○コンパクトでも一生暮らせる

○将来売るときには高く売れる

という要素を持ったものを札幌支部会員から募集しました。

 

今回は募集作品の中から、(株)三五工務店の青山義孝氏が同社企画住宅「sococo」について発表しました。グッドデザイン賞も受賞した住宅です。

帯広でも中心市街地では土地面積が50坪前後の準狭小地と言える土地に家が建っているケースが見られるようになりました。

今後は、「北海道支部全体で取り組もう」と会員に呼びかけました。

 

 

次に、コストダウンをテーマにしたパネルディスカッション。

コストダウンは、家をコンパクトにするだけでなく、合理化や生産性の向上といった工夫が必要になると思われています。

 

パネリストとして、地元・十勝からウッズ建築設計事務所の山口正所長、(株)岡本建設の岡本修専務、(有)水野建設の水野光義社長の合計3名が、住宅建設のコストダウンについて考えを述べました。

 

写真右から順に、山口所長、岡本専務、水野社長
写真右から順に、山口所長、岡本専務、水野社長

山口所長は、ツーバイフォー工法の合理性について説明しました。部材の種類が少なく、端材が出にくいこと、床を組み上げてから壁を建てるやり方に合理性があることなどを説明。

 

岡本修専務は、現場には常に1業種の職人しか入れないよう工程管理をきちんとやり、そのことで現場清掃を各業者の責任でやってもらい同社が余分な現場管理費を計上しなくて良いことなどを説明しました。さらには、「短期間で建てることが必ずしもコストダウンにつながらない」日本での大工の雇用形態を説明。むしろ、「1年中仕事がまんべんなくある」ことが結果的にコストダウンにつながると、お客様や職人に協力してもらいながら、年間の建築計画を立てていることを説明しました。

 

水野光義社長は、ツーバイフォー工法の合理性を在来工法に取り入れる工夫について説明しました。

 

最後に、司会の鎌田紀彦代表理事が「この問題は今後も継続的に取り組んでいきたい」とまとめました。

 

 

休憩をはさんで、会員からの発表。

 

札幌支部からは、棟晶(株)の斉藤克也常務が「ZEHの先を見すえて」と題し、ZEHに加えて蓄電池を取り入れたモデルハウスについて説明。

 

続いて、十勝支部からは(株)髙橋組の富樫洸太氏が「ニアリーZEH現場状況」について説明。

 

最後に、十勝支部(株)岡本建設の高橋隼人氏が「平成26年度ZEH住宅」について説明しました。いずれもZEH(ゼロエネルギー住宅)の事例で、各社の工夫や建設価格なども公開し、参加者は熱心にメモを取っていました。

 

 

ここで午前の部がようやく終了し、お昼ご飯の時間です。

 

午後からは、鎌田紀彦代表理事からQ1.0住宅についての呼びかけがありました。午前中の発表のまとめなどを行い、さらにQ1.0住宅のデータ取りの新たな方法として、クラウド型HEMS(HEMS=家庭用エネルギーマネジメントシステム)の利用を呼びかけました。

高性能住宅がほんとうに光熱費の低減や省エネに役立っているかは、室内環境や光熱費を継続して測定し、蓄積していくことが大事です。しかし、工務店が年間に建てられる棟数は限られており、ご協力いただけるお客様の数はそんなに多くはありません。

 

そこで、新住協会員が建てた省エネ住宅の室内環境や光熱費データを会員が共有することで一度に数十件ものデータをまとめて見ることができるように、データをHEMSを通じて大手建材メーカーのクラウドサーバーに送り、保管してもらおうという試みです。

 

もちろん、共有されたデータは、協力されるお客様のプライバシーに留意し、厳重に管理する仕組みとなっています。

 

最後に十勝支部支部長である(有)猪子建設の猪子社長が閉会宣言と次期地区大会が函館で行われることを発表し、解散となりました。

 

十勝支部会員は、大会の準備から運営に至るまで忙しい時間を過ごしましたが、多くの参加者が集まったことで充実感もいっぱいでした。

 

また、こうした大会などで得られた情報や、会としての取り組みを元に、よりよい家づくりに励んでいきたいと思います。